【三大栄養素】タンパク質の基礎知識!必須アミノ酸の種類や働きなどを紹介
タンパク質とは?
筋肉や骨、皮膚、臓器、毛髪、血液、酵素、ホルモンなど、身体のあらゆる組織を作る原料となるのがタンパク質です。タンパク質は約20種類のアミノ酸が結合してできており、アミノ酸の中には体内で合成することができないものがあります。
それらを「必須アミノ酸」と呼びます。必須アミノ酸は食品から摂取する必要があります。成人の場合は、イソロイシン、ロイシン、トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、スレオニン、バリンの9種類になります。
子供の場合には、これらにアルギニンを加えた10種類になります。この記事では、必須アミノ酸の種類をはじめ、働きや1日の摂取量、過剰摂取または不足した場合にどうなるのかなど、必須アミノ酸の特徴を詳しく解説していきます。
必須アミノ酸の種類
イソロイシン(分岐鎖アミノ酸)
必須アミノ酸の一つであるイソロイシンには、成長を促すほか、神経の働きを補助する作用があります。イソロイシンは骨格が一部分岐した分子構造をしているため、同様の構造を持つロイシン、バリンとともに「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」と呼ばれています。
ロイシン(分岐鎖アミノ酸)
必須アミノ酸の一つであるロイシンには、肝臓の機能を高める働きがあります。また、ロイシンは分岐鎖アミノ酸の一種であり、分岐鎖アミノ酸には、身体のタンパク質を増やす働きがあり、運動時のエネルギー源として利用されます。
バリン(分岐鎖アミノ酸)
必須アミノ酸の一つであるバリンは身体の成長に関与しているアミノ酸です。イソロイシン、ロイシンとともに分岐鎖アミノ酸と呼ばれています。分岐鎖アミノ酸は、運動の持久力を高めたり、筋肉痛を軽減する可能性が示唆されており、運動時に重要な役割を果たします。
フェニルアラニン(芳香族アミノ酸)
必須アミノ酸の一つであるフェニルアラニンには、脳に刺激を与える神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンを生成する働きがあります。フェニルアラニンは構造にベンゼン環などの芳香族基を有することから「芳香族アミノ酸(AAA)」と呼ばれています。
トリプトファン(芳香族アミノ酸)
必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは、鎮痛や催眠、精神安定などの作用を持つ神経伝達物質・セロトニンを作る原料となります。フェニルアラニンと同様に芳香族アミノ酸に分類されます。
メチオニン
必須アミノ酸の一つであるメチオニンは、血液中のコレステロール値を下げ、活性酸素を取り除く作用があります。また、体内で、ヒスタミンの血中濃度を低げる働きもあります。側鎖に硫黄を含む疎水性のアミノ酸です。
スレオニン(トレオニン)
必須アミノ酸の一つであるスレオニン(トレオニン)は、成長の促進に加え、脂肪肝を防止する働きがあります。側鎖にヒドロキシ基を持ち、「極性無電荷側鎖アミノ酸」に分類されます。
ヒスチジン(芳香族アミノ酸)
必須アミノ酸の一つであるヒスチジンは、身体の成長や、神経機能の補助などに関与しているアミノ酸です。塩基性アミノ酸の一種であり、側鎖にイミダゾール基という複素芳香環を持つことから、芳香族アミノ酸に分類されます。
リジン(リシン)
必須アミノ酸の一つであるリジン(リシン)は、人間の身体の組織を修復するとともに、ブドウ糖の代謝を促進したり、肝機能を高める働きを持つアミノ酸です。側鎖にアミノ基を持つことから「塩基性アミノ酸」に分類されます。
アルギニン
アルギニンは体内でも合成されますが、乳幼児期には体内での合成量が十分でなく、不足しやすいことから、準必須アミノ酸と呼ばれています。アルギニンには身体を活性化して免疫機能を高めたり、脂肪の代謝を促し筋肉を強化する成長ホルモンを合成する働きがあります。
必須アミノ酸の特徴
主な働き
・筋肉、骨、血液、ホルモンなどを構成する。
・生命を維持する。
・体内代謝を促す。
・神経伝達物質を生成する。
・抵抗力をアップさせる。
1日の所要量
タンパク質は、1g当たり4kcalのエネルギー源となり、1日の所要量は成人の場合、男性で約70g、女性で約60gとされています。ただし、動物性ばかり摂取していては、コレステロールの摂り過ぎに繋がります。
逆に植物性だけでは栄養が偏ってしまうので、動物性と植物性のタンパク質を上手く組み合わせて摂取することが必要になります。
過剰に摂取すると
タンパク質を体外に排出する時にはカルシウムが必要になります。そのため、タンパク質を過剰に摂取すると、カルシウムが不足し、骨粗しょう症の原因になる場合があります。また、痛風発作や肥満、尿毒症、神経過敏症の悪化を招くこともあります。
不足すると
摂取量が少ないと、脳の働きが鈍ったり、スタミナが低下して体力が衰えてきたり、病気に対する抵抗力が低下します。さらに血液の中に蓄えられていたタンパク質が減少して貧血を引き起こすほか、肌荒れ、抜け毛などの原因になる恐れもあります。
良質なタンパク質とは?
必須アミノ酸はどれか一つでも量が足りないとタンパク質の栄養価もそのレベルにまでしか到達しません。タンパク質を構成するアミノ酸の種類と量が異なれば、タンパク質の栄養価も異なってくるのです。
肉や魚、卵などに含まれる動物性のタンパク質、あるいは大豆などの植物性のタンパク質は、必須アミノ酸をバランス良く含んでいることから、「良質なタンパク質」と呼ばれています。
まとめ
タンパク質についてご紹介しました。三大栄養素の一つであるタンパク質を構成するアミノ酸。その中でも体内で合成できない必須アミノ酸には様々な働きがあります。健康を維持するために、必須アミノ酸がバランス良く含まれている良質なタンパク質を食事に取り入れるようにしましょう。